第2章 優しい約束、哀しい約束
空が味方か
それは頼もしいな
俺が太陽ならば、陽光を嫌う鬼を狩る俺にとっては好都合だ
それにしても…近い…
薫さんの眼球に映る俺は、間違いなく目が泳いでいる
「はいはい!近ぇって!薫、男とは適当な距離を保たねぇといけねぇんだよ」
宇髄は俺から薫さんを引き剥がし、俺と宇髄の間に座らせた
嫉妬…か?まさか、宇髄のような色男がそんなこと…と思ったが
俺への視線が痛いな
宇髄が同じ気持ちとは厄介だ
「友達でも近くはだめなの?」
「あのなぁ、友達だろうと男は男なんだよ。下半身で物を考える生き物だ」
「煉獄さん…も?天元さんは、ちょっとわかる気がするけど…」
俺を警戒するように見上げる薫さんの視線も痛い
「おい、ちょっと待て。俺はそう見えるってどう言うことだ?俺と煉獄どう違うってんだ?」
反対側からする宇髄の声に応えるように、今後はそちらを向いた
薫さんの髪が揺れ、花のような甘い香りが鼻をくすぐった
長くて美しく髪だ
思わず指が触れそうになった
「煉獄さん!聞いた?どう違うかわからないんだって!」
薫さんが勢いよく振り返った
俺は急いで手を引っ込め、顔を作る
我ながらの早業だろう
しかし危なかった
もう少しで触れるところだった
「俺と宇髄か?」
「そう!天元さんは…なんか、こう…女の人を手のひらでコロコロ転がしそうでしょ?煉獄さんは見るからに誠実そうよ?」
薫さん、それは君の思い違いだ
俺はたった今、君に触れたいと思った
もし宇髄が俺と同じ気持ちならば、厄介だとも思った
「薫さん、俺は君が思うほどの男ではない」
「そうだぞ。煉獄だってな、頭ん中は薫に見せられねぇ事ばっかりだ。それに俺のことは随分な言い草じゃねぇか」
「えぇっ!?煉獄さん…そうなの?」
「いや…そう言う意味ではなくてだな…!宇髄!君はなんて事を吹き込むのだ!」
薫さんは、再び俺を見上げてくる
キョロキョロと忙しなく俺と宇髄を交互で見る薫さんは
愛らしいな
「はっ!煉獄が抜け駆けしようとしてるからだろ?」
「俺は何も!」