第2章 優しい約束、哀しい約束
たった1人の女性にこれほど翻弄されるとは…
これが恋ならば、恋と言うのは些か厄介なものかもしれん
そして自分勝手なものだ
他の者に触れられたくないと思う
自分だけを見て欲しいと思う
なぜこうなるのか…わからない事が多すぎるのだ
ただ、常に薫さんを視界に捉えていたい
薫さんが笑えば、俺も嬉しい
自分勝手かと思えばそうでもないところもある
「おい、煉獄!何ぼーっとしてやがる。いつ行くか?」
「すまない。考え事をしていた。いつ…?あぁ。海だな?早いほうがよかろう」
「あと半月もしねぇうちに梅雨入りだ。そうだな…3日後にしよう」
3日後、と言うと月曜日か
「そうだな。そうしよう!薫さんどうだろうか?」
「うんうん!3日後!わかった!準備しておくね」
俺たちの提案に満面の笑みで返事をくれる
幼少期が辛くとも、これから楽しい思い出をたくさん作ればいい
こらから増えていく思い出に、俺が刻まれていくのなら
どんなことがあろうとも、俺はそれを守る
恋だろうが、友情だろうが
幸せを辿る君を近くで見ることができるなら
なんでもよいのだ
「薫さん、晴れるといいな」
「煉獄さんがいるから大丈夫!」
薫さんは、唇の両端を持ち上げて可愛らしい笑顔で言った
彼女のこの顔は、少し幼さがあり無垢な少女のようだ
しかし、薫さんの言った意味はわからない
なぜ俺がいると“大丈夫“になるのだろうか
俺が首を傾げていると、薫さんは俺の顔に触れそうなくらい顔を寄せた
「煉獄さん、何のことかわからないって顔してる」
「あぁ。教えてくれるか?」
「煉獄さんは太陽だからだよ」
薫の瞳の虹彩がはっきり見えるくらいの距離だ
おそらく、俺の目を覗き込んでいる
宇髄には、聞こえてしまっているだろうな
俺の心臓の音が
今にも口から飛び出しそうだ
それでも、目を逸らすことはできなかった
「太陽…か。ならば、俺は晴れ男と言うことだな?」
「うん!そうだよ!煉獄さんは太陽だから、空は煉獄さんが大好きだと思うの。きっとね、煉獄さんの味方してくれる」