• テキストサイズ

綾なす愛色【鬼滅の刃】

第2章 優しい約束、哀しい約束





薫さんが宇髄へ礼を言った時
俺は初めて嫉妬というものを知った
あの日彼女が目覚めるまで、そばにいればよかったと後悔した

俺はこんな気持ちは知らない
焦りと後悔だ
その笑顔を俺には向けてくれないのか?
俺はこんなに独占欲が強いのか?

何もかもが初めて知る感情だった
宇髄のことなど言えんな

「煉獄さん…?難しい顔をしてる。何か考えごと?」

いつの間にか薫さんは俺の前にいて、俺の顔を覗き込んだ
近い…な
警戒心がない証拠なのだろう
だが、俺とて男
俺は全く意識されていないということなのだろうか

「いや、紫陽花が綺麗でな。手入れが行き届いているなと感心していた」

「そうでしょ!自慢の紫陽花なの。紫陽花ってね…移り気、浮気って花言葉なの。でもね、色ごとの花言葉は…青い紫陽花は辛抱強い愛情なの」

薫さんは俺と宇髄の間に腰掛け
遠い目をして紫陽花を見つめていた

「辛抱強い愛情って、どんなのだろう…お母さんも辛抱強い愛情、待ってたのかな…」

いつになっても来ない待ち人を待ち続けた彼女の母親は
ついに耐えきれずに命を絶った
彼女に向けられることのなかった愛情は、命と共に一緒に消えてしまった

「薫、愛情ってのは何も母親から貰うだけじゃねぇ」

「私も、貰えるかな…」

薫さんは自信なさげに俯き、膝を抱えた
そんな小さく丸めた体を、抱きしめたい衝動を拳を握り抑える
耐えるんだ

「あぁ!!貰えるに決まっている!」

俺の中にあるのは、彼女を女性として守ってやりたいとの欲なのだろうか
それとも、1人の人としてなのか

まだはっきりしない以上、下手なことをしてはならない
ただ確かなことはある
薫さんに会いたくて堪らない気持ちだ

別れた後、すぐに顔を見たくなる
抱きしめたくなる
これが恋だと言うのなら、納得がいく
なぜなら、初めての感情だからだ

しかし、友人に対しても同じ感情を抱くことがあると言うならば
俺はお手上げだ

/ 73ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp