第2章 優しい約束、哀しい約束
はっ?はぁ?はぁぁあっ!?
おい、待て
煉獄今何つった?
俺が薫に特別な想いを持ってるってか?
俺は頭を殴られたような衝撃を受けた
わかっちゃいた
薫は他の女と違うことくれぇわかっちゃいたが…
煉獄がわかるくらい顔に出てたのか?
なら薫も気づいてんのか…?
「宇髄、安心するといい!!薫さんは恐らく気づいていない」
「お前さぁ…俺の心読めんの?」
「読めるはずなかろう!薫さんにも同じことを言われたがな!」
こいつだけは、読めねぇ
まったく読めねぇ
誰が好きだとか嫌いだとか、そんなもんには一番疎いと思ってたからな
どこか、自分で認めねぇようにしてたんだ
薫を特別な女として見ちゃいけねぇ
あいつは友達を欲しがってる
男はいらねぇ
あいつの願いを叶えてやりてぇんだ
「はぁ…煉獄さ…お前…」
お前もじゃねぇの?
と言いたいのを堪えた
よってたかって薫を好きだなんだ言ったって、あいつは困るだけだ
それに、俺より煉獄の方が薫を幸せにしてやれるだろう
あいつは誠実だし
何より手を汚してねぇ
今余計な横槍を入れるより、見守る方が得策だ
「なんだ?」
煉獄は薫から俺に視線を移して首を傾げてみせた
俺は煉獄の代わりに薫に視線を移す
あいつは相変わらず紫陽花を指先で突いている
「天元さん!!この間はありがとう!紫陽花生けてくれたの天元さんでしょう?」
薫が急に振り返り、無垢な笑顔で俺を見た
俺は突然の出来事に、心の準備もできないまま
その笑顔に吸い込まれそうになっていた
「おっおう…」
ろくに返事もできない俺に
「誰かが私の為にしてくれることって、小さいことでも嬉しいね!」
そう言ってまた前を向いてしまった
おい、もうそっち向いちまうのか?
もっとその笑顔を見せてくれねぇのか?
なぁ、薫
お前は…どうしたら俺だけを見てくれる?
たった今煉獄の方が薫を幸せにできると思った俺はどこへ行った
クソっ
これじゃあ譲れねぇじゃねぇか
なんであいつは…こんなにも愛おしいんだ