第2章 優しい約束、哀しい約束
縁側に腰掛けて、並んで食べた卵焼き
風にのって鼻を擽る花々の香り
天元さんと杏寿郎さんの髪も揺らして、両側からフワッと香る2人の香り
ただでさえ近いのに、もっと詰め寄られて私の心臓はどうかなってしまいそうだ
「俺も煉獄も勝ちとなると…逢瀬はどうなる?3人で仲良く逢瀬か?それとも俺と煉獄、1人ずつか?」
うっ…
天元さん、怒ってる…?
眉間に皺寄ってる
でも!!
「3人がいい!!」
「はぁっ?お前なぁ…」
せっかくお友達になれたんだ
3人で出かけたい
絶対楽しいもん
天元さんは観念したように、大きなため息をついて
額当てに手を当てた
「煉獄はそれでいいのか?お前も相当練習してきたんじゃねぇの?」
天元さんの目線の先には杏寿郎さんの手があった
ところどころ火傷のような痕がある
慣れない料理をしてくれたのは一目瞭然で、私は心がチクリと痛んでしまった
でも私だって引けない
この2人どちらかを選ぶなんてできないよ
「薫さんは3人で行きたいのであろう?審判に従うのは当然のことだ。宇髄、薫さんの好きなようにしてやろう」
「わかったよ。薫、どこに行きたい?どこへでも連れてってやる」
天元さんはもう機嫌が直っていて
いつものちょっと無邪気な笑顔を私に向けてくる
杏寿郎さんの一言は鶴の一声なのだろう
2人の信頼関係もそうだけれど、心を開き切っているんだ
「薫さん、遠慮なく言うといい。海の向こうでなければ大体の所は連れて行けるからな」
海の向こう…
「あっ!海!海に行ってみたい!」
天元さんと杏寿郎さん顔を交互に見る
どちらもニッコリ笑ってる
「海か!そりゃいいな。季節もちょうどいいしなぁ」
「そうだな。足を浸けるくらいできそうだ!」
ふむふむと杏寿郎さんは頷いている
この2人は海を見た事があるのかな
私は初めて
初めての海に3人で行けるなんて
前の私だったら想像できなかった
何かを楽しみにするなんて
こんな気持ち…初めてだ
「足も浸けていいの?」
「せっかくの海だ。濡れたって構わねぇよ。俺たちが担いで帰ってやる」