第2章 優しい約束、哀しい約束
「ただ勝負するって言ったってつまんねぇよなぁ…」
天元さんは少し上を見て何か考えてる
ところでいつ勝負になったんだろう
私は考え事をしている天元さんを見上げると、何か思いついたのか私も見てにっこりと笑った
「よし!決めた!薫と逢瀬にしよう」
天元さんはにっこりしたまま、とんでもないことを言い出した
でも…私でもわかる
逢瀬は恋人がするものだよ
「天元さん、逢瀬って恋人がするものでしょう?」
「恋仲じゃなくたっていい。楽しい時間を過ごすんだ。薫の好きなモン食いに行ったり、欲しいモン買ったりな」
「それはいいな!実に楽しそうだ。これは負けてはいられないな」
煉獄さんも張り切り出してしまった
楽しい時間か…
逢瀬と言えるものをしたことがないから、とても心惹かれてしまった
コソコソしなくていいんだ
堂々と楽しい時間を過ごせる
「煉獄もこう言ってるしな。薫、いいか?」
「へっ?あっ!はい!天元さんと煉獄さんがいいなら、私は嬉しい…です」
私の返事に満足そうに頷いた天元さんは、器用に卵を割って卵焼きにとりかかった
煉獄さんも天元さんに続いて、卵を割る
「そうと決まれば全力でいかせてもらうぞ!」
「望むところだ!任務同様手抜きはせん!」
「そういや任務で思い出したわ…不死川はよ、鶏抱えたまんま鬼狩ってたらしいぞ」
「ほう。それはまた器用だな」
「ちげーよ。そこ笑うとこだろ?想像してみろよ。鶏を脇に抱えて鬼の頸斬ってんだぞ?そりゃ鶏も卵生まなくなるわな。」
天元さんはよほど面白いのか、クククっと笑ってる
「不死川は心根の優しい男だ。鶏も不死川の優しさに気づいたのであろう」
私は吹き出してしまった
だって、煉獄さんがあまりに真剣にそう言うから
「おい、煉獄!薫に笑われてんじゃねぇか」
「何かおかしい事言ったか?」
「うっわ。無自覚かよ。煉獄、お前さ…幸せだな」
「あぁ!俺は幸せだ!」
煉獄さんは本当に正直で、真っ直ぐ
幸せだって言い切れるところが羨ましい
だって本当にそうなのだろう
今の自分を認められているし、置かれている環境も大切しているのだろうから
私も、そうなりたい
せめて、自分を好きになりたい…