第2章 優しい約束、哀しい約束
空は青くて広い。どこまでも
天元さんがみせてくれた世界は、本当に広かった
この広い世界で、天元さんと煉獄さんに出会えたんだ
この世界も悪くはないって思えたんだ
煉獄さんと天元さんの背中、どちらもすごく大きくて
まるで盾のように守ってくれているみたい
「煉獄さんが卵焼きなんて、可愛いですね!」
目尻から流れそうだった涙を誤魔化すために、笑って見せる
煉獄さんは
「今の君の笑顔は君らしくていいな」
そう言ってくれた
「ありがとう!煉獄さん達のおかげだよ!」
煉獄さんはにっこり笑顔を返してくれる
うん。やっぱり太陽みたいだ
————家から賑やかな声がする
こんなの初めてだ
「おい!煉獄。いいか、卵は2つずつだ。」
「ほう。ところで君は不死川に何と言って貰ってきたのだ?不死川のところで初めて生んだ卵ではないのか?」
「あぁ…。それはだな、おはぎと交換だ」
「おはぎか!!」
煉獄さんは大きな目を更に大きくしてびっくりしていた
シナズガワさんは怖い顔と言っていたけどおはぎが好きなら、意外な一面と言うことになるのだろうか
天元さんは新聞紙を開きながら卵を取り出して、煉獄さんに手渡しながら屈託のない笑顔を見せている
私はそんな2人をいつまでも見ていたくて、台所の陰からそっとみつめていた
ずっと冷え切っていた家にあったかい風が吹いているみたい
色のなかった私の世界に鮮やか色が生まれる
たった2人の存在で、私の世界と人生ががらりと変わったようなんだ
無だった色、香り、音…
全く心の動かなかった私に、鮮やかな色彩を与えてくれた
「おい、薫!そんなとこに突っ立ってないでこっちこい」
「薫さん!俺たちの勝負、しかと見届けてくれ!」
同じだ…2人は同じ笑顔で笑う
凄く楽しそうに、心から笑う
だから、私もつられて笑ってしまうんだ
「はい!!2人とも、頑張ってください!」
天元さん、私、煉獄さんの並びで立つ台所
広くて無駄ばかりと思ってたけど、今は…少し窮屈でそれが心地よかったりするんだ