第2章 優しい約束、哀しい約束
————昨日叩かれた頬が痛む
けど、煉獄さんが冷やしてくれたおかげで少し違うのだと思う
私1人なら放っておいたもの
昨日は恥ずかしいところばっかり見せてしまったけど
煉獄さんは、真っ直ぐ受け止めてくれた
煉獄さんの姿はもう見えないけど、体には抱きしめてもらった温もりが残ってるような気がした
でも…
「もう来てくれないかもしれないな」
大きなため息をついて、がっくしと肩を落とした
でも、こんな時こそ日常を保っていないと本当のダメ人間になりそうだ
気合い入れて起きなければ、いつまでもこのままだ
「お花にお水…」
布団を畳もうと足を畳についたら
あったかい…
「煉獄さん!?」
まだあったかい
たった今までここにいたんだ
気がつけば私は外に飛び出していた
玄関を出て、左右に首を振る
いない…
「ありがとうって、言いたかったな」
謝ってばかりだと言われた
どうして1人で背負おうとするのかとも
それはね、そうすれば楽だったから
誰も憎まずに済むから
人を憎むってすごく大変
お母さんがそうだった
愛と憎しみは紙一重なんだって身をもって知った
「煉獄さんは、鋭いね」
あの日から私の夜のお出かけはなくなった
地味なおめかしをして、つい出掛けそうになって…玄関で我に帰る
そのまま土間に座り込むと、ひんやりとして硬い感触が伝わってくる
それが余計に惨めさを助長させた
私は何をやっているのだろうか
頬の痛みをもう忘れたの?
これじゃお母さんと何も変わらない
来もしない人を待つのは惨めだ
「何やってるんだろう」
外の空気を吸おう
この中にいたら息が詰まる
カラッと扉を開けて、私は息を飲んだんだ
だって……
「よぉ!薫。めかし込んで俺達が来るのわかってたのか?」
宇髄さん…
カラカラと笑いながら門の前に立っている
その横には
「薫さん!連絡してから来ようと言ったのだが、宇髄がどうしても今日だと言い張ってな」
困り顔の煉獄さん
でも、やっぱり声は大きい
「煉獄も乗り気だったじゃねぇか!俺ばっか駄々こねたみてぇな事言いやがって」
「はて、そうだったか?」