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綾なす愛色【鬼滅の刃】

第2章 優しい約束、哀しい約束





「薫さん?」

君が顔を上げるまでの時間が長く感じる
どんな顔をしている?
俺には検討がつかない
また哀しい笑顔を作っているのか?
それとも、この手のように冷たい表情か?

「煉獄さん…違くないよ。私は悪い子なの。だから人のものを取っても平気でいたの…」

薫さんの顔は、笑顔を作れないほどひどく哀しい顔をしていた
思わず手を引いた
冷たく氷のように冷たい手を

「それは言うなと言ったであろう?」

胸に包んだ薫さんは、小さく震えている
重い荷を1人で抱え生きてきた
暗く怖い中を、たった1人で

叶うなら、幼い頃の彼女を力いっぱい抱きしめてやりたい
君はもう独りではないと
世界は君が思っているよりずっと素晴らしいと
教えてやりたい

「煉獄…さん…お日様の香りがするね」

「そうか?安心するか?」

「うん…煉獄さんが汚れちゃっても知らないからね」

薫さんの震えが止まった

「君は美しい。ゆえに俺は汚れない!」

「またそれ言う!勘違いされちゃうからだめだよ。それから抱きしめるのもだめ」

「そうだったな!さぁ、頬を見せてくれて」

胸の中でモゾモゾと動き、俺を見上げた
やはり赤い頬
 
「少し冷たいぞ」

まだ冷たい掌を頬に当てると
体を小さく震わせた

「冷たいっ!でも…気持ちいい」

目を細めて頬を擦り寄せる君は、人の温もりを取り込もうとしているようだった

「さぁ居間に戻ろう」

いくらか瞼が落ちてきたように見える
疲れたであろう
ゆっくり休むといい

「…はい」

居間の隣の部屋に布団を一組敷いた
薫さんは、頬に俺の手巾を当てたまま卓に伏せるようにして眠ってしまっていた

起こすのは気の毒だ
人の気配がある中で眠ることを彼女は何年も知らなかっただろう
安心した寝顔だ
このまま、穏やか眠りのまま朝を迎えてさせてやろう

「薫さん、また来る」

彼女の元を後にしようと立ち上がると、羽織りが引っ張られていた
薫さんを抱き上げたとき、無意識の内に握り込んだようだった
 
「わかった。ここにいよう。夜が明けるまで君の隣に」

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