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綾なす愛色【鬼滅の刃】

第2章 優しい約束、哀しい約束





薫さんの屋敷は驚くほど物がない
それだけではない
ここでの人の歩みや成長が感じられない
冷たく無機質だ

「煉獄さん、ここに座ってて下さい。すぐお茶いれます!」

俺を居間へと通すと、薫さんは居間を出て行こうとする
彼女は頬の痛みを忘れているのか?
足取りは軽く嬉しそうだ

「頬の手当てが先だ」

俺は思わず彼女の腕をつかむと、痛々しく頬を腫らせた薫さんが振り向いて笑った
俺は薫さんの目は哀の色をしていると言った

だが…
振り向いた薫さんの目は燈が灯ったようだ
俺は薫さんから目が離せなくなっている
俺の手は痛々しい頬に吸い寄せられるように触れていた

「痛むか?冷そう」

冷やしてやらなければならない
頭ではわかっている
しかし、このままでいたい思いが邪魔をして彼女の前から動けなくなっていた

「煉獄さん?」

首を傾げる君は、俺の手に頬を寄せる
熱を持った頬が痛みを伴うとわかっていながら
親指をほほの上で滑らせてしまった

「煉獄さんの手あったかいね。太陽だから?」

「太陽か!君は初めて会った時もそう言ったな。そうか、太陽か。しかしそれでは、火照りが強くなってしまうな。」

「少しでいいから…このままでいたらダメ?こう言うことも言っちゃダメかな…友達ってどこまでが友達?」

俺は何と答えたらよい?
何が正解だ?
友人として、薫さんに触れているのであろう?
俺の心臓はなぜこんなにうるさい

「難しい質問だな。君の痛みを分けて貰うのもまた友人の役目だ。」

「天元さんもそう言ってくれたの。この手で痛みを煉獄さんが貰ってくれているの?」

俺は薫さんの痛みを取ってやりたい
頬の痛みだけではなく、心の痛みもだ
蓄積された傷は古傷となって今も痛むだろう

癒えるまでには相当な根気と時間を要するやもしれん

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