第2章 優しい約束、哀しい約束
私の驚き方に煉獄さんはお腹の底から出しているような大きな声で笑った
「そうか!二十歳に見えないか!だが、俺は嘘はつかない!」
煉獄さんの中で、嘘をつかないって当たり前の事なんだ
私は嘘にまみれた世界にいたから、真実が珍しくて仕方ない
「煉獄さんは見るからに正直者だもの。煉獄さんの周りにいる人達は、きっと居心地がいいんだろうな」
「君も俺のそばにいるであろう?」
私には煉獄さんは眩しすぎる
正しくて、真っ直ぐで、温かい
どこをとっても私の反対だよ
「煉獄さんは太陽みたいだから、そばにいたらポカポカお昼寝できそうだね」
「するか?昼寝。もう夜だがな!』
「寝ちゃったらもったいないです。せっかくそばにいられるのに」
煉獄さんは私をじっと見てから、眉根を寄せた
何か変なこと言っちゃったかな…
「薫さん!それはよくない。男は勘違いするぞ!」
「えっと…そっか…こう言うことを言っちゃいけないんだ。ごめんなさい。」
「俺はいいが変な輩もいるからな。君にそのつもりがなくても都合のよいように捉えられてしまう。言葉を選ぶと言うのは、君を守る為にも必要なことだ。薫さんが心を許せる者ができた時の為に取っておくといい。」
私、叱られてる?
なんだろ
ちょっと嬉しい
よく言うでしょ?その人の為を思って叱るんだって
煉獄さんは、私の為を思って言ってくれてる
それが嬉しくて私の顔はきっと綻んでたと思う
「煉獄さん、ありがとう」
「ありがとう…か?君は面白い女性だな。君の中に何人もの君がいるようだ。憂いを持った君は大人びて見える。屈託なく笑う君は少女のようだ。今の自然体の君は年相応の二十歳の女性。どれをとっても薫さんだが、本当に君が見せたい自分はどこにいる?」
煉獄さんはどうしてこうも見抜くんだろう
私は本音を隠してる
もっと私を見て、もっと私に構って
もっともっと!って、わがまま言いたい
でも、それは言っちゃいけない様な気がして
ずっと心に押し込んでる
いい子でいなきゃ
甘えちゃいけない
そう言い聞かせているうちに、私は”甘える”ができなくなってしまったんだ