第2章 優しい約束、哀しい約束
「ん?笑っているのか?」
煉獄さんは、胸にうずめられている私の顔を見ようとしてくる
でも、だめ
頬は腫れてるし、涙と鼻水でぐちゃぐちゃになった顔なんて恥ずかしくて見せられない
今更恥ずかしいの気にしても仕方ないけど
イヤなものはイヤ
これ以上恥をかくのはごめんだ
「見ないで下さい!ひどい顔してる…から。恥ずかしいの」
「笑っているのであろう?なぜ笑顔が恥ずかしい?君の笑顔は美しい」
「………ずるい」
煉獄さんは、くすぐったくなるようなセリフを平気で口にする
でも煉獄さんが言うと、全部嘘偽りのない言葉になるんだ
「ずるいか!?ずるいと言われたのは初めてだ!」
「煉獄さんに言われると嬉しくなっちゃうから!煉獄さんは嘘がないから…」
「うむ!俺は嘘はつかない!」
「でもね、男の人からそんな事言われると勘違いしちゃうのよ?」
「勘違い…か?よくわからんが、嬉しいことであるなら俺も嬉しい!」
恥ずかしくて顔を上げられなかったことも忘れて煉獄さんを見ると、やっぱり笑顔が可愛くて私もつられて笑ってしまった
「さて、薫さん!帰ろう」
「帰る…?一緒に?」
「そうだ!頬を冷やさなければなるまい?」
「私1人で帰れます!煉獄さんお仕事の途中でしょ?鬼を見たことがないって人を増やすために煉獄さん達がいるのでしょう?」
「よくわかっているな!そうだ。1人でも多くの人々が鬼を知らずにいられるよう俺達は刀を振るっている」
だって天元さんがそう言ってたから
煉獄さんも天元さんもすごいな
ちゃんと自分を持ってる
「こんなところで私に構ってちゃだめです。困っている人の所へ行ってあげて?」
「俺には君が困っている人に見えるが?」
「そうじゃなくて、もっと命が危ないとか…」
「命が危ないと言うのは、何も体への攻撃だけではないぞ。心への攻撃もそのようになる。俺の目には今の君を1人にしていいようには見えない」
一時は忘れる孤独も、後朝にはもっと深く感じることなる
それでもやめられないのは私の弱さだ
ほんのひとときの、偽物の温もりと愛情に自ら騙されにいくんだから
それでこんな心を抉られて…
ハハ…笑っちゃう
私何やってるんだろう
消えてしまえたらって何度も思った
煉獄さんにそれを見抜かれていたなんて
情けないなぁ…私