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綾なす愛色【鬼滅の刃】

第2章 優しい約束、哀しい約束





「もっと早く来ていれば、このようなことにはならなかった。すまない」

どうして煉獄さんがそんな悲しそうな顔するの?
これは私が受けるべき罰なんだ
頬の痛みも、煉獄さんに見られてしまった恥ずかしさも

「助けてくれてありがとうございます。明日になったらもっと腫れちゃうかな。当分外には出られなそうです」

精一杯の笑顔を作って煉獄さんを見上げると、指先で触れているだけだった手が私の頬全体を包んだ
温かい手
太陽みたいな人だとは思っていたけど、体温まで日向にいるような温かさを待っている

「無理して笑うことはない。君の心は泣いているのではないか?」

私はずっと泣きたかったんだ
お母さんがいなくなった時も、誠二さんに奥さんがいると知った時も
ずっとずっと泣きたかった

肌を重ねるんじゃなくて、優しく抱きしめて欲しかった
温もりを感じたかったんだ

「どうしてわかるの?」

「君の瞳から涙が流れているからだ」

煉獄さんは頬を包んだ手で涙を拭いながらそう言ってくれた
嘘だよ
涙は今出たばっかりだもん

一度出た涙は止まらない
次から次へと自分でも驚く量の涙が出てくる

煉獄さんにこんな姿まで見られるなんて
今日は恥ずかしいことばっかりだ

「薫さん、俺の胸で我慢してくれ」

煉獄さんは一歩前で出て、私を包むようにして抱きしめてくれた
背中をさすりながら
何も言わずにただ胸を貸してくれる
だから私は安心して泣くことができた

頬が痛い
心が痛い
煉獄さんの温かさは痛みに塗る薬みたいに、じんわりと私の体に染み込んでいった

声をあげて泣いたのなんていつぶりだろう
今まで溜まっていたものが涙と一緒に流れていく感じがする

「君は1人で耐えていたのだな。だが君はもう1人ではない。俺も宇髄もいる!」

煉獄さんの声が胸から響いてくる
こんなに近くにいるのに大きな声の煉獄さんがなんだか可笑しくて
泣いているはずなのに笑いが込み上げてきてしまった


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