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綾なす愛色【鬼滅の刃】

第2章 優しい約束、哀しい約束





薫の煩いくらい響く心臓の音を聴きながら見た薫の横顔は、何よりも綺麗だった
こいつのやってることは、お世辞にもいいとは言えねぇし
後ろ指を指されることだ

だが、それに反して薫の求めるものは、何より美しい愛なわけだ
矛盾ばっかだな

高いところか怖ぇとじたばたする薫は子どもみてぇだし
憂いを含んだように目を伏せる姿は大人の女だ
嬉しそうに笑う顔は年相応だ
こいつ自身もまた矛盾の塊みてぇなやつだ

こいつは、今まで怖いものに独りで向き合ってきたんだろう
薫は友達が欲しいと言った
そんなもんお安い御用だ
俺だけじゃねぇ、煉獄だってそうだ

家族じゃなくたって、体の関係がなくたって
心を通じ合わせることはできるんだ
薫にそれを教えてやりてぇ



————木の上から見る世界は広い
いかに自分が小せぇか思い知らされる

膝に乗せたままの薫が、俺の胸に頭を預けた
静かに寝息まで聞こえてくる

「おい、薫。寝てんのか?」

そのままずりっと倒れ込みそうになる薫をすんでのところで抱き込んだ
油断の隙もねぇ
小せぇし、柔らけぇし
薫は女なんだと嫌でも再確認させられるわけだ

「薫よぉ、んな男やめちまえよ。もっといい野郎がいるだろ?自分を安売りすんじゃねぇよ」

聞こえちゃいないだろう
髪に差した簪が、薫を捕らえているようで無性に腹が立つ
簪の中の金魚は自由に泳ぎたいはずだ

無理矢理こんなところに閉じ込めやがって
壊してやりてぇが…壊したら金魚も一緒に壊れちまう

俺の腕にすっぽり入りそうな薫は脆い
力加減を間違えりゃ一瞬で砕けそうだ

まだ冷える風から薫を守るように優しく抱きしめりゃ
頬を擦り寄せてくる

「薫、高いの怖いって喚いてたよなぁ?それがなんだよ。寝ちまって。」

俺は暫く木の上で薫の体温を感じていた
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