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綾なす愛色【鬼滅の刃】

第2章 優しい約束、哀しい約束





季節は移り変わり、時代も移り変わる
それでも私は抜け出せない渦の中でもがき苦しんでいた

そこに差し伸べられた手を掴みたいのに
この渦から出た世界を見るのは少し怖い

けど、天元さんの手は大きくて逞しいんだ
厚くて硬い掌は、力強く”大丈夫だ”って言ってくれているみたい

見上げた天元さんの横に見える月
いつも笑われているような気がしてた
でも今日、初めて綺麗だと思ったんだ
同じ月なのにまるで違うものに見える

「友達って凄いのね。友達ができただけで、違った景色が見える」

「そうだなぁ。出会いってのはそうかもしれねぇな。薫、見てみろ。
この世界の端から端、どんだけ広いと思う。」

そろりと目を外の世界に向けると、光がぽつぽつと見えて
どこまでも続く夜空が広がっている
ずっと遠くは、地上と空が混じっているようで永遠に続きそうだ

「考えたこともなかった。私の生きている世界って広いんだ…」

「あぁ、果てしなく広い。色んな奴が暮らしてる。男だって女だって山ほどいる。こん中に薫を必要とする奴、薫に必要とされる奴必ずいる。俺の他にも必ずいる。薫、殻を破って出てこい」

天元さんの声が脳に響いてくる
今まで誰もそんなこと言ってくれなかった
あの人だって、私との関係を隠したいから夜の闇に紛れていたんだ
私の存在を消すように

でも、天元さんは私を明るいところへ引き摺り出そうとしてる
私は世界の広さを考えたらすごくちっぽけだ
蟻より小さい

世界の広さを知らなかった私は愚かだった
私の今いる場所が全てだと思っていたんだから

「これだけ広けりゃ、薫の居場所は他に必ずある。今の場所にしがみつく必要なんてねぇんだ。怖いか?今を捨てるのが」

天元さんは、あの人を捨てるのが怖いか?って聞いてるんだ
私はどうしたいのだろう

”愛している”と平気で言う人
見え見えな嘘
なにもかも作り物で、まがいもの
そんなもの……いらない
けど…

「いらない…けど、捨てるのは怖い。また必要になるかもしないって思うと、易々手放せない」

私はそうやって生きてきたから
今更身軽になんてなれないよ
罪にどっぷり浸かってしまってるんだから
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