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綾なす愛色【鬼滅の刃】

第2章 優しい約束、哀しい約束





突然のことでびっくりしているのか、天元さんと密着したからなのか
うるさい心臓はもっとうるさくなっている
そんな私を笑うかのように天元さんの腕は私のお尻をしっかり支えてきて

「ぜってぇ離すなよ!」

言われるがまましがみつくと、ふわっと浮き上がり
瞬き一つすると、もう木の上にいた
あまりの高さに混乱する
だって、月との距離が一気に近くなったみたいだ

「高いぃ!!怖い!やだぁ!落ちる!離して!」

「ちょっ!おい待て!暴れんなって」

「こんな高いところやだ!!」

あまりの恐怖により強く掴まると、天元さんの香りが強くなって
恐怖が少しだけ薄れていく

「大丈夫だ。俺が何があっても離さねぇよ。薫、見てみろ」

天元さんの首に顔を埋めたまま動かないでいる私に、見てみろと言う
何の拷問だろう
高いところは嫌いだ
小さい頃から木登りや山登りなんてしたことなかった

お母さんに手を引かれて出かけると、楽しそうにお父さんと木登りする子の姿を見たことがある

お母さんは決まって、”あんなはしたない遊び”って言っていた
きっとお父さんがいる家庭に劣等感を持っていたのだと思う
本当は寂しくて羨ましくて

だから高いところには耐性がない
見てみろと言われても、恐怖で体がうごかないのだ

「怖いんだってば!!」

「まず俺を見ろ。下は見るな」

おずおずと顔を上げると、目を細めて私を見る天元さんと目が合った
紫檀色の瞳が綺麗に輝いていて、思わず息を飲んでしまうくらいだ

瞳に私だけを映してくれる人がいる
体の奥底から湧いてくる安心感に、天元さんの言う通り下を見ずに
しっかりと天元さんを見つめてみた

「ほらな?下を見なけりゃ大丈夫だ。支えるやつがいれば恐怖に勝てる。」

核心を突かれているようだったんだ
私が怖いのは高いところだけじゃない
他にもたくさんあるんだ

独りも怖い
人と必要以上に心を通わせるのが辛い
でも、支えてくれる人がいれば大丈夫だと天元さんは言った

「私にも、そんな人が現れるといいな」

「もういるだろ?友達ってのはそう言うもんだ」

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