第1章 ムカつくアイツ。
硝子が教室から出て行くのを見て、五条は肩を竦めた。
「俺、悪モンみてーじゃん。」
「実際そうだろ?分かってるなら行ってこい。
の事だからきっとブチ切れながらトイレ掃除してるだろ。」
「はぁ…。アイツ女のくせにすげー凶暴じゃん。
すぐ殴るし口は悪いし。
1週間も一緒に掃除させられるとか何の拷問だよ…。」
舌打ちをしながらも渋々立ち上がる五条を見て、傑はククッと喉奥を鳴らした。
「その辺にいる女よりよっぽど素直で可愛いじゃないか。」
「はぁ??傑、お前いつからドMになったんだよ。」
「Mになった訳じゃないが、私達に近寄って来る子は大抵自分を良く見せようと上辺を装うだろ?
それはそれで健気で可愛いと思うが、は一切自分を偽らない。
良くも悪くも真っ直ぐなんだよ。」
「お前まさか、、、」
それ以上は言葉に出来ないとばかりに、五条は口を手で覆ってみせた。
「フッ、いーや?私にはは純粋過ぎる。
今ぐらいの距離がちょうど良いんだよ。」
「待て待て待て、純粋⁇アイツのどこが純粋なんだよ。」
「悟も少しはの表向きな部分ではなく、中身を知った方が良い。
案外2人は息が合うと思うが?」
ニッコリ。という文字をそのまま貼り付けたような笑顔を見せる友人に、五条はさらに顔を歪ませた。
「ククッ、じゃあ私は先に帰るよ。
ちゃんと仲直りするんだぞ?」
傑は何やら楽しそうにヒラヒラと手を振りながら教室を出て行った。