第1章 ムカつくアイツ。
五条side
傑のやつ、全然意味わかんねー!
ドカドカと廊下を歩きながら先程の言葉を思い出していた。
純粋?
あいつが?
純粋の意味、分かってて言ってんのか?
とっかえひっかえ彼氏つくって股開くようなやつの一体どこが純粋なんだっつーの。
そもそも口喧嘩ばっかの俺らが息が合うとか、適当な事言いやがって。
そもそもアイツは俺のタイプじゃねえ。
ピンクっぽい茶色のショートヘアも、女のわりに背が高くて細身なとこも、猫目で気の強そうな目も、、、
ーーー全部好みじゃねぇし。
俺はふわふわっとした見た目の控えめで女らしい子がタイプなんだよ!
「傑のやつ、好き勝手言いやがって…。」
ボソッと吐き捨てると、廊下の先にあるトイレから夜蛾との声が聞こえてきた。
やべっ‼︎
サボったのチクられる‼︎
言い訳を考えながら足を向けた時、
「なぜが男子トイレを掃除してるんだ?悟はどうした?」
『・・・五条は教室の掃除してもらってます。
トイレと教室、分担しようって決めて。
あ、先生トイレ使う?私出てましょうか?』
「そうか、ならいい。明日は遅刻せんようにな?」
「はーーい。」
夜蛾はトイレから出ると奥の職員室の方へと去って行った。
思わず壁に身を潜める。
ーーーーなんだよ。
分担なんてしてねーのに…。
アイツ、さっきまでブチ切れてたくせに何で俺を庇うようなウソつくんだよ。
何の特にもなんねーだろ?
悶々とした気持ちを抱え、俺は踵を返した。