第4章 海
『ーーーーーあのさ、ちゃんとお礼言えて無かったけど…
前に焼き肉屋で助けに来てくれて、ありがと。』
「あー、、んな事あったな。」
『あの時、学校にバレないようにしてくれたの、助かった…」
「ん。」
『さっきも…溺れかけたの助けてくれたし。』
「罵声浴びせられたけどな。」
『・・・・てへ。』
「てへ。で済ますのかよ…」
肩越し振り向いた五条の表情は、口調のわりに優しい顔をしていた。
そしてまたすぐに前を向き、さらに深いところへと引っ張ってくれる。
『ーーー五条ってさ、ごくたまに優しいよね。』
「いつもだろ。」
『目、疲れない?』
「ここまで来ると人いねーし、平気。」
『ーーー泳ぐの上手いね。』
「こんぐらいフツーだろ。」
他愛のない話をしているうちに、気付けば周りに人はほとんど見当たらず、だいぶ沖の方まで来ていた。