第4章 海
『ちょっと、バカッ!変態っ‼︎ドスケベッ‼︎
もういい加減降ろしてよーーー‼︎』
「・・誰が変態だって?」
五条はニコッと笑顔を貼り付けると、勢いをつけ海に投げるモーションをする。
『え?ちょ、、、嘘っ、、やめてやめてっ!』
「目ェつぶれよーー。」
『ウソウソッ‼︎死ぬーーーーーー‼︎‼︎人殺し〜〜〜〜〜‼‼︎︎』
ぎゅっと目を瞑り、手で鼻を摘む。
身体が空中へと浮遊し、
ぽーーんと投げ出された身体は…
『あ、、、あれ?、、浮いてる…』
目を開けると、すっぽりと浮き輪の穴にお尻が入り、プカプカと水面に浮いていた。
「誰が人殺しだよ。」
五条が浮き輪に肘を突き、じっと見上げてきた。
『・・・・あんたならやりかねないと思って。
ねぇ!それよりこれ気持ちいーねー?もっと深い方連れてってよ‼︎」
「はー⁈さっきまでびびって泣きそうになってたの誰だよ?」
『さぁ〜誰だっけ〜⁇
てゆーか海の上でねっ転がりながら空を見るなんて生まれて初めてっ‼︎超気持ちいーーー‼︎』
目を閉じて燦々と降り注ぐ日差しを浴びる。
「ハイハイ。つーかじゃあコレ、お前が掛けてろよ。」
五条は自分の掛けていたサングラスを外すと、そっと私に掛けてくれた。
『わっ、何これ〜真っ暗‼︎』
普段こんなに視界が暗いのか、と驚くと同時、五条のさりげない優しさに頬が緩んだ。
浮き輪の紐を引き、泳ぐ五条の背中を眺める。
傑より少し細いけど、しっかり筋肉がついていて無駄な肉がない引き締まった身体。
髪は太陽の日差しを受け、銀色にキラキラと輝いている。
どこまでも続く青く高い空と目の前に広がる広大な海のお陰か、普段なかなか素直になれなくて言えない事が言える気がしてきた。