第1章 ムカつくアイツ。
傑はめちゃくちゃ良い男だ。
見た目は勿論、優しいし、頭良いし、同い年なのに妙に落ち着いていて紳士的、そして何より強い。
どっかのクソ野郎とは大違いだ。
あーあ、傑が彼氏だったらいいのになぁ。
こうしてフリーになる度、何度かアプローチしてるけど、いつも軽くあしらわれて話をはぐらかされる。
要は脈はないってコトだろう。
脈がないなら他を探すまで。
片思いとか、そんなモノは時間の無駄。
私には甘酸っぱい恋心とか、ドキドキするような恋愛はいらない。
欲を満たし、私を好きだと囁いてくれて、空っぽの心を埋めてくれればそれで良い。
「ーーそれより、そろそろ悟を起こして掃除した方が良いと思うよ?」
私の隣の席では五条が机に突っ伏して居眠りをしている。
昼を食べた後からこの状態だ。