第1章 ムカつくアイツ。
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『えーーっ⁈硝子、先に帰っちゃうの⁇』
退屈な座学が終わり、私の前に座る硝子は早々と荷物をまとめ、帰る準備をしている。
「?帰るけど?はこれから掃除してくんでしょ?」
『えーーー!ちょっと待ってよー‼︎すぐ終わらせるからっ‼︎
遊び行こ?そーだ!クラブ行かない⁇』
「は?クラブって…。あんたまさかまた新しい彼氏と別れたの?」
『まぁ〜、、うん。価値観の不一致ってヤツよ。』
えへっと笑うと、呆れた顔でため息を吐く硝子。
その隣の席では傑がククッと笑いながら振り向き、こちらに身体を向けた。
「新記録更新かい(笑)?
ここまで来ると逆に潔いね。」
『・・・新記録って?』
「が彼氏が出来てから別れるまでの日数よ。
今回は1週間ももたなかったんじゃない?」
私は斜め上を見上げ考える素振りをする。
4日か5日?
いや、3日だったかも?
曖昧な記憶に首を傾ける。
「・・あんたいつか背中刺されんじゃないの?気をつけなさいよ?」
『ちょっと、物騒なコト言わないでくれる?
別に遊びで付き合ってるワケじゃないし。
最初は良いかもー♡って思って付き合っても何か違うって思った途端、冷めちゃうんだから仕方ないじゃん。
つーか傑の方こそ背中気をつけた方が良いんじゃないのー?』
「ん?私なら心配無用だよ。お互い利害が一致してる子としか関係はもたないからね。」
爽やかな顔で笑ってるけど、なかなか話す事はエグいな。
ーーーーけど。
『傑となら私、上手く付き合っていけると思うんだけどなぁー?
フリーになったし、私達付き合ってみる⁇』
机に身を乗り出し迫る私を、傑はいつものように軽くあしらう。
「ハハッ、こっぴどくフラれるのがオチだし、やめておくよ。」
『ちぇー。』
口を尖らせて不貞腐れて見せると、傑は少し困ったように笑った。