第4章 海
『傑っ、あのさ…』
「おねーちゃんとおにーちゃんて結婚してるの?」
キラキラとした目をしながら男の子が私と傑の顔を交互に見る。
『けっ、結婚⁈』
思わず声が裏返ってしまったた。
そんな私とは反対に、傑は落ち着いた声で、
「結婚はまだしてないよ。」
と答えた。
・・・・まだ?
"まだ"ってちょっと意味深じゃない?
傑の言葉ひとつひとつに過敏に反応してしまう。
「結婚してないのにラブラブだね。」
「ハハッ、そうだね、ラブラブだよ。」
「じゃあこのケーキはおねーちゃんにあげよっか?」
「そうだね、おねーちゃんはケーキが大好きだから一瞬で食べちゃうよ?」
告白のタイミングはすっかり逃してしまったけど、何とも微笑ましい会話をする2人に頬は緩みっぱなしだ。
それからしばらく3人で砂遊びを楽しむと、男の子は「もう帰らなきゃ…」と少し名残惜しそうにしながらも、最後は笑顔で手を振りながら走って帰って行った。