第4章 海
波がサーッと打ち寄せ、すぐにデニムのショートパンツはびしょ濡れになったけど、暑くて火照った身体が冷め、むしろ気持ち良く感じた。
「はい、どーぞ。」
男の子がバケツをひっくり返すと綺麗なプリン型の砂山が完成した。
『わぁー!すごいっ!上手じゃーん‼︎
いただきまーーす♡』
食べるフリをしていると、波が打ち寄せプリンを攫っていく。
『ご馳走さまでした〜♡』
手を合わせてお礼をすると、男の子は嬉しそうに満面の笑みを浮かべた。
フフッ超可愛いーー♡
そんなやり取りをしていると、
「?随分若い男の子をナンパしたね?」
振り向くと既に水着に着替えた傑が笑いながら立っていた。
鍛え抜かれた上半身につい、視線が向いてしまい、慌てて逸らす。
『残念でした〜。ナンパしたんじゃなくて、
私がナンパされたんです〜。』
「ハハッ、そっか。
随分楽しそうだね?
私も仲間に入れてもらってもいいかな?」
傑はしゃがみ込むと、男の子に優しい笑顔を向けた。
「いーよ!」
「ありがとう。
じゃあ手始めにケーキでも作ろうか?」
「作って作って〜!」
「じゃあ私がケーキを焼いてる間にイチゴを用意してくれるかい?」
「いちご、、、?うん!分かった!
ちょっと探してくる!」
男の子は立ち上がるとイチゴらしきものを探し始めた。
傑はペタペタといびつな砂山ケーキを作り始め、何だかその異様な光景に思わず吹き出して笑った。
「そんなにおかしい?」
傑が照れ臭そうに笑みを溢す。
『プッ、、だってケーキ焼くとか、、イチゴ用意してとか、、、
なりきり具合がハンパないなって、、プフッ、、』
「こう見えてカタチから入るタイプだから。」
『いや、、でもそれ、、ケーキ超下手くそじゃん(笑)
あの子の方が上手だよ〜?』
え?と真剣な表情になる傑が余計に可笑しくてゲラゲラと笑っていると、
「・・・すまない。女の子がいたから戻れなかった?
服、汚してしまったね…。」
『え、服?
あー…いーよいーよ。すぐ乾くし。
そーいえば女の子達はいいの?』
「あぁ…、、珍しく悟が相手してるよ。」
『えぇっ?五条が⁈』