第4章 海
海を見た瞬間、興奮してとりあえず足だけ浸かり、海水の冷たさを堪能した私は、水着になるべく砂浜へと戻った。
ーーーあれ?
海に不似合いの格好だった硝子は目立ってたからすぐに見つけられると思ったのに…
・・・いない。
けれど代わりに目立つ2人組が視界に入り、その光景に思わず『うわぁ…』と声を漏らした。
ワンタッチテントの前に座る五条と傑の隣にはスタイル抜群の水着ギャルが2人、頬を染めて楽しそうに話していた。
まぁ見た目だけで言ったら、あの2人は背も高いし顔も良いし、そりゃオネーサン達がほっとかないよねー。
でも到着してまだ10分たらずだよ?
ナンパされんの早くない?
『てゆーか私、戻れないじゃん…。』
濡れた足には砂が張り付き、すでに額には汗が滲んでいる。
着替えたくても私の荷物は傑に預けたままだし、、、、
最悪じゃん。。。
呆然と立ち尽くしていると、後ろからチョンとシャツの裾を引っ張られた。
振り向くと小さなバケツとスコップを持った男の子が首を傾けて私を見上げていた。
『ん?』
「おねーちゃん、迷子?」
『えっ⁈私⁇
迷子じゃないよ〜(笑)
あはっ、おねーちゃん迷子に見えた⁇』
しゃがみ込み、男の子と同じ目線になるとその子はコクッと頷いた。
『そっかー。心配して声掛けてくれたの?』
「うん。」
『優しいねー?ありがとう。
・・・僕は、、1人なの⁇』
辺りを見回すが親らしい人はいないように見えた。
「うん。家、すぐそこだから。」
『あっ、地元の子なんだね!
どーりで真っ黒に日焼けしてるワケだ。
バケツ持って何してるの?』
男の子は浅瀬に座り込むとバケツに砂をせっせと入れ始めた。
「おねーちゃんにプリン作ったげる。」
『やった〜♡プリン大好き〜♡』
なんだかその子が可愛くて、濡れるのもお構い無しに私もそこに座りこんだ。