第3章 賭け
それから映画はクライマックスを迎え、悲しくも切ない結末に終わった。
『〜〜〜〜五条っ、ディッジュどっでぇ。』
「ハハッ!ひっでー顔!鼻水垂れてるし。」
投げられたティッシュの箱を受け取り、鼻をかむ。
ボロ泣きしたせいで目は腫れ、鼻の頭は赤くなってしまった。
『もうダメ、、立ち直れない…
こんな切ない終わり方ある⁈
エドワードが可哀想っ‼︎』
私はそのままベッドに横になり、目を閉じると悲しみの余韻に浸った。
「俺はそもそもあの女が気に食わないね。
全ての元凶はあの女じゃん。」
私とは正反対に、五条はケロッとした顔でポッキーを食べながら流れるエンドロールを観ている。
『はぁ、、あんたは死ぬまで女心は分からないだろうね…。
あー、、それより泣き過ぎて目ぇ痛い。
ねぇ、何か冷やすもんない?』
パチッと目を開けると、五条の顔が目と鼻の先にあり、思わず目を丸くした。
『びっ、くりしたぁ〜、、何?』
「女心?そんなん俺には全っ然わかんねーな?」
ギシッとベッドが軋む音がする。
いつの間にか、サングラスを外した五条が私の顔の横に両手を突き、覆い被さっていた。
普段こんな至近距離で碧眼を見る事がないせいか、透き通った綺麗な瞳に思わず見惚れてしまう。
『ーーーえ?何て…?』
「こうして男の部屋に2人きりでいて、女がベッドに横たわったらエッチしても良いよ♡の合図じゃねーの?」
『ーーーーは?』
「女心がわかんねー俺はそう捉えるケド?」
五条の親指が唇をなぞり、大きな手の平が頬を包んだ。
普段憎まれ口ばかり叩く男とは打って変わって、甘い雰囲気と真剣な表情に、心臓が跳ねる。
『ちょっ、、、⁈』
「・・・目ぐらい閉じろよ。」
低い声が耳をくすぐり、そのままゆっくり顔が近づきーーーーー