第1章 ムカつくアイツ。
ーー
寮の玄関で靴を履きかえていると、
「パンツ丸見え。黒とかエッローー。」
『・・・・。』
振り向かずとも、声の主は分かる為あえて無視を決め込んだ。
「シカト〜?女ならもうちょっと恥じらうとかねーのかよ。
それともそんなスカート短くしてわざとパンツ見せてんの?
ハハッ、それじゃあ痴女じゃんっ‼︎」
チッ
思いっきり舌打ちをし、盛大にため息を吐いた。
『はぁ〜〜。もぅ五条、朝からうざいっ!』
大きな声を出した途端、頭にズキッと痛みが走った。
イッターー、、
思わずこめかみあたりを押さえていると、
「あ?また二日酔いかよ。ちゃんてば不っ良〜〜。」
『っるさい。つーかあんただってこんな時間に登校?
とっくに授業は始まってるケド?』
靴を履きかえた五条が隣に並び、憎いほど整ったその顔を睨み上げた。
女にしたら私も背は高い方だけど、それでもコイツとはさらに20センチ以上の身長差がある。
五条はあくびを漏らしながら、
「それがさぁ、朝の5時まで傑とスマブラしてたんだけど、アイツがシャワー浴びに行った後寝落ちしちゃったんだよね〜。
ったく傑のヤツも声掛けてくれりゃあいいのによ〜〜。」
『朝までゲームって小学生(笑)?
でもそこでちゃんとシャワー浴びてしっかり学校に行くとこはさすが傑だよね⁇
涎垂らして寝落ちしちゃう誰かさんとは大違い〜〜ププッ!』
皮肉たっぷりに笑ってやると、五条はムッとした表情で眉を寄せた。
「ぁあ?ヨダレなんか垂らしてねーしっ!」
『つーか鏡も見てないワケ?口のとこ跡ついてるっつーの!
ホントだらしない。』
「ーーえ、マジ?」
ガシガシと口元を擦る五条をハンッと鼻で笑いながら一瞥し、
『嘘よ、ダサ。』
ベッと舌を出してダッシュで校舎の中へと駆け込んだ。