第2章 焼肉と欲望 *後半 微Rあり*
私がフフッと口元に笑みを浮かべると、五条の眉間の皺がさらに深くなった。
『決めた!
1ヶ月の男断ちが成功したら傑に交際を申し込みます!』
「はぁ⁇⁇いやいや、やめとけって。
お前今まで傑に何回も断られてんだろ?」
『うん、そうだよ?
けどさ、ちゃんと真剣に伝えた事って無かったから。
いつもその場の流れで言っちゃう感じだったじゃん?
だから今回は真面目に言えば少しは考えてくれそうじゃない?』
ねえ?と隣を歩く五条に視線を向けると、面倒臭そうにため息を吐いた。
「つーかマジで傑が好きなワケ?」
ーーーー好き?
好きか嫌いかって言えばそんなの好きに決まってる。
『・・・・・・好き、だよ?』
「おいおい、すげー間が空いたな…。
それに何で疑問系なんだよ。」
『だって"好き"に本気かそうじゃないかはよく分かんないから。
私はカッコ良いと思う人と付き合いたいし、良い男に抱かれたい。
だから傑がいい。いたってシンプルでしょ?』
「・・・あっそ。ま、俺には関係ねーけど。
振られたって慰めねーかんな?」
『そんなの五条に期待してませんからーー。』
べーと舌を出して校舎に入って行く前の2人の後を追った。
ーーーふと以前、付き合っていた男に言われた言葉が頭を過ぎる。
"俺のこと都合の良い男だと思ってる?"
"他に好きな子出来たから。つーか俺らってセフレでよくね?"
"お前さ、本気で誰かを好きになったこと、ないだろ?"
言われたその時は『は?』って思うし、頭にもきたけど、また新しい彼氏が出来ればそんな事はすっかり忘れてしまう。
合わないと思った男とはすぐに別れるし、フラれたとしても悲しい、とは思わない。
クラブで発散するか、酔っ払ってバカ騒ぎして忘れるに限る。
悲しくて泣くとか、元カレを引きずるとか私には理解出来ないし時間の無駄だと思ってる。
ーーーそんな風に思ってしまう私は何か欠乏しているのだろうか…。