第1章 ムカつくアイツ。
『あっ!傑ー‼︎おかえりぃ‼︎』
「よそ見をするとは良い度胸だっ!うおりゃっ‼︎」
『ちょっ、卑怯者ーー‼︎うわっ最低ーー‼︎
』
「よっしゃー‼︎俺の15勝め〜〜!ハッハッハ〜〜」
『マジで性格悪っ‼︎初心者相手なんだから手加減しろっ‼︎』
「嫌だねっ!俺に勝つなんて1億年早えーよ!
」
「・・・・。」
肩透かしにあった私の前で、いつもと変わらずギャーギャーと騒ぐ2人。
ただ、肩を並べてテレビの前に座る2人の空気は、どことなく親密度が増したようにも見える。
そんな後ろ姿をぼんやりと眺めていると、眉を吊り上げたが振り向いた。
『つーか傑っ‼︎
そんなトコ突っ立ってないで私に必殺技の出し方教えてよ!
五条のやつ、コントローラーの使い方しか教えてくんないの!
マジで腹立つ〜〜〜‼︎』
「あ、あぁ。分かった。」
いつものように笑みを浮かべ、部屋の中に足を踏み入れる。
ふと視線を落とせば、テーブルの上には空のペットボトルやカップラーメンの容器、スナック菓子のゴミが散らかり、随分長く遊んでいた事が伺えた。
「つーかお前弱すぎだから傑と代われ。
傑!朝の続きしよーぜ?」
悟はの手からコントローラーを奪い取り、ぽいっと自分の手元に放り投げた。
『えぇっ⁈やだやだっ‼︎今日は私が勝つまで帰らないからね⁈』
「そんなん言ったら朝まで帰れねーじゃん(笑)つーか何日かかるかわかんねーぞ?」
『ク〜〜〜ッ‼︎』
今にも殴りかかりそうな勢いのと悟の間に割って入ると静かに腰を下ろした。