第1章 ムカつくアイツ。
『・・・別にセックスがしたくて付き合うワケじゃない。
ーーーー1人が寂しいから紛らわせるためよ。』
独り言のように呟き、携帯をいじる。
そう言えば私、フリーになったんだった…。
今日はクラブ行く気分じゃないし、誰か遊んでくんないかなぁ。
歩きながら履歴をチェックしていると、
「なぁ、賭けしよーぜ?」
五条が突然、妙な事を切り出した。
『ーーーー賭け?』
足を止め、眉を顰める。
「そ。お前が勝ったら何でも一つ言う事聞いてやる。
その代わり俺が勝ったら俺の言う事、一つ聞く。
ーーーおもしろくね?」
ニッと口元に綺麗な弧を描き、憎たらしいほど整った顔で見下ろされる。
『・・・内容にもよる。』
不適に笑う五条を見上げた。
「簡単簡単っ!お前が1ヶ月男断ち出来たらお前の勝ち、出来なかったら俺の勝ち!」
『・・・1ヶ月、男断ち⁇』
「そ。楽勝だろ?」
待って待って、、。
男断ちって彼氏を1ヶ月作らないってことだよね…?
頭の中で想像してみる。
そして考える事数秒…。
『いや、無理。1ヶ月は無理だわ。』
首を横に振り、キッパリと答える私に、五条は「はぁ〜〜⁈」と声を上げた。
『だって今までそんなに空いたことないし。負けるって分かってて賭けなんてしないから。』
「マジで奥ゆかしさのカケラもねーな…。
お前のその色んな意味で乱れた生活を立て直してやるっつってんだから少しは我慢しろよ。」
思いもよらない言葉にピタリと足を止めた。