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999本の薔薇〈進撃の巨人〉

第2章 Geranium



 ローズの手を取り、地下街を歩く。ローズをじろじろと見てくる男どもにガンを飛ばしながら、リヴァイはローズの手を握る力を強めた。


「リヴァイ、どこに行くの?」


 きょろきょろとしながらついて来るローズは、呑気そうに聞く。


「まだ言わねぇ」


 これはサプライズだ。今どこに行くか言ってしまえば驚きも薄れてしまうだろう。
 リヴァイの答えに後ろのローズが苦笑したような雰囲気があった。

 どれだけ歩いただろうか。
 人通りも少なくなり、ジメジメとした湿っぽい空気が爽やかなものに変化していく。春の香りを乗せた風がどこからか吹き込んでいるのだ。


「……ついた」


 リヴァイはやっと目的地についたことに気づき、足を止めた。


「すごい……」


 するりと手が離れる。ローズはリヴァイの前に出て、目の前の光景に目を見開いた。
 そこは地下街の奥にある空き地だった。天井には穴が空き、さんさんと日が注いでいる。その下に溢れんばかりの草花が咲き誇っていた。


「地下街にこんな場所があったなんて」


 さくさくと草を踏み分け、ローズは日を浴びて気持ちよさそうに伸びをした。


「連れてきてくれてありがとう。リヴァイ」


 彼女は笑って振り返る。
 その声で名前を呼ばれると心のどこかがざわついた。


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