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二人の航海者

第8章 一夜限りの夢の宴


「??うん。というか君、射撃してたのか?」
「ゲームのコーチを付けてただろう?シューティングゲームもやってたからな」
あー成程、と言いつつ蒼音が手を握り返した。

「…………ん?」
そこで初めて、蒼音の手を握っている事に気が付いたが。握り返されてしまったのだから、いいのだろう、とはやる心臓を抑えて龍水はゆく。屋台を周り、特別ステージを見て。飛び込みステージで結局蒼音が歌い、バックで龍水がうさぎを抱っこして見詰めた。帰ってきた蒼音にうさぎを渡す。

「ありがとう。……お、ちょうどいいね」
ドーーーンッッ!!!
派手に打ち上がる花火に、『たーまやー!』と皆が叫ぶ。

「せっかくだから私たちも叫ぼうか、龍水」
「そうだな、蒼音」
二人で花火を前に口を大きく開けた。

「たーーまやーーーー!!」
終わる。楽しかった一日が。船出前の最後の夜が。それでも尚生まれた新しい思い出と共に、二人は叫んだ。ぬいぐるみと龍水の手を握り締め、蒼音が笑う。

「その服、あげるよ。働いた奴に無報酬はいただけないのでな。君の為に作った物で……私の心だ」
きっと蒼音はぼかすと思っていたが、ハッキリと手作りだと言われた龍水は、その日一番の微笑みで返した。

「ああ!!なら、有難く頂戴しよう!!!」
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