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二人の航海者

第5章 秘密の会


「発見した油田の権利は俺が貰う!!」
「ええぇえええ!!?!」
龍水の石油独占宣言に周囲が震える中、六道院蒼音は冷静だ。

「まあそう来るだろうな、龍水君なら」
そう言いつつ、自身の手作りクッキーをモグモグしている。

「龍水君。君の事だ、どうせ肝心の船の燃料に使う石油は君から買うんだろう?」
「その通りだ蒼音!通貨を作るぞ」
なーにがその通りだ、こっちが苦労するやつじゃねーか、と千空がドン引きだ。

「蒼音ちゃん、さっすが龍水ちゃんと十歳で契約して婚約者になるだけあって飲み込み早すぎゴイスー!」
まあ龍水君と居ればこうなるよ、とゲンに告げる蒼音。クッキーを食べながら龍水に声をかけた。

「龍水君。ほい、クッキー。現状いちばん現代食っぽいやつだぞ。食いたまえよ」
「ほう?まさかとは思うが、貴様の手作りか!?」

「そのまさかだが。くるみとドングリのクッキー。あーデモー、《手作り》ダシー。君からすれば粗末な物だろうな。要らないか」
フイッ!とクッキー袋を持ったまま明後日の方角をわざと向く蒼音。慌てた龍水が待て、話を聞け!と蒼音の肩に手を置く。

「おい、要らないとは言ってないぞ!?俺は貴様の手作りならなんだって欲しい!だがな、そんなのを無報酬では」
「もしかして迷惑だったのか?『あーん』ぐらいしようかと思ったのだが」
しょぼんとする蒼音。もう龍水の主張ガン無視で台詞を被せているが、これが恐らく【龍水の操舵のプロ】の経験上最も効くのだろう。

「なっ……!そんな訳なかろう、絶対に欲しい!!貴様がそこまでするなら有難く貰おう。後で金は弾ませるぞ!!」
嬉しそうにクッキーをあーんする蒼音の姿に、千空がニヒルな笑みを浮かべた。

「ククク……!俺らは科学グッズ作ってモノ売らなきゃいけねーが、いんじゃねーかここに。いちばん高値が付きそうな物欲の男の【操舵の天才】が!」
「え、ジーマーで?そのカード切っちゃう?禁断のカードじゃない??」
千空とゲン。二人の視線の先では。

「はっはーー美味いぞ!流石貴様の手作りだな!」
龍水がクッキーを褒めそやしている。蒼音がニコニコと『有難う。フランソワさんの教えが上手かっただけだね、あとお金は要らないから』と答えていた。
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