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二人の航海者

第4章 春の嵐


「おい記者。テメーの見立てだとどの辺に帆船乗り回せる奴がいそうだ?」
「そうね〜、この辺りだと海洋系学校の『七海学園』かしら」
千空が尋ねると、科学王国が誇る天才軍師、蒼音の予想通り。南からも同じ場所の名前が出た。

「ほーん。その手の学校なら乗り回せる奴が確実に居るんだな?」
「そうそ。帆船もカリキュラムだからね〜、講師の人とか選ばないと」
そう言って出発準備をする記者、北東西 南。これなら、南からその学園に行った時点で『王子様』の客観的な話が聞けるだろう。

「ククク……流石軍師サマ、この流れも記者の考える事も想定済みってか」
怪しげな笑みを浮かべる千空に、こら!とその天才軍師——蒼音がぺち、と書類で頭を叩いた。

「絶対復活させろとは言っていないぞ、私は?あくまで判断するのは君だ、千空。君の冷静な判断で復活させる船長を決めたまえ」「おーおー!それはそうだが、軍師サマも来ねえのかよ。せっかくの3700年越しの奇跡のご対面になるかもしれねぇぞ?」
千空がそう煽るも、蒼音は目を伏せて微かに笑った。何かを我慢する様に。 

「許嫁だった私が同行するのは良くない。それでは南ちゃんの客観的な視点による情報を引き出せないだろう?私は断固行かないぞ」スタスタ去る蒼音に、まー素直じゃねえ天邪鬼なこった、軍師としてそこは割り切ったんだろうなーと千空は苦笑いした。

******
「いた……龍水……!!」
あ゙ーーコイツだな。蒼音が名前出さずに仄めかしてた、超絶寝坊してる『王子様』は。千空が理解しソッコーで復活液を出す。南の説明を聞く限り、流石軍師。ちゃんと経験豊富な実力者を推している。これなら文句無い。

他人の為なら自分の身すら顧みずに何でもしてしまう様な、無欲な軍師が唯一『欲しい』と言い、実力を保証したのだ。この龍水という少年を嫌う南からも腕利きと言われる。それ程良い船長なのだ。なら、復活させない理由は無い。

(ククク、じゃあ軍師サマのお望み通りかけるか) 

周囲が悩む中、即座に復活液をかけると——ピシッピシシィイイイッ!!パキンッッ!!!何故か高く上げられた右手から、石化が解けて印象的な黒いヒビが入る。

「はっはーーー!!戻ったぜ遂に!!!世界は再び俺の物だ!!!!」
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