第3章 心のフィルム
「ほーーん?そりゃまた唆る話だなあ、軍師?本当なら是非【欲しい】所だ!」
「まーね。でも南ちゃんから名前出ると思うよ。ここから行ける距離の有名な海洋系学校——七海学園。恐らく南ちゃんもそこを選ぶだろう。そこで彼女から話を聞きな。その手腕は、この私が保証する」
そう言って蒼音は歩き去る。その姿を見送り、千空はポツリと呟いた。
「あの無欲な軍師サマが『欲しい』つったんだ、私情があっても勧めるからには相当腕利きだろうしな。ハッキリと名前までは言わねーのが軍師のプライドってとこか。ククク……面白ぇ!その寝坊してやがる馬鹿な『王子様』とやらを叩き起してやるか」
千空は岩場から立ち上がった。3700年起き続けて助けに来た、ホンモノの『王子様』の為に。