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海軍日誌

第5章 ミニオン島へ


家族に対してしか使ったことも無いし、普段から使ってはいけないとも言われていた。

センゴクさんやロシナンテがに辛い思いをさせたく無いという優しさからの忠告だった。だから能力を普段使いしたことは無かった。

だが、必要となればいつでもなんでも引き受けるつもりだった。覚悟はとうに出来ていたのだ。
大切な人が命の危機に立たされれば、いくらでも分けよう。命を…



ープルプルプル…プルプルプル…ガチャ

痛みと熱でボーッとする頭で目の前の男が誰かに連絡するのを眺めていた

「悪い。手を貸して欲しい」

その顔は申し訳なさそうな表情で今にも泣き出しそうなものだった。
意識がはっきりしないためどんな内容を話していたのかは、わからない

会話が終わると俺の頭を撫でながら

「もう少しの辛抱だ」

と言った。

もうすぐ彼が欲しているオペオペの実を手に入れられるのだろうか。
もうすぐ彼との病気を治す旅も終わりを迎えるのだろう。
自分の死か、病気を…珀鉛病を克服するかのどちらかで。

死ぬ事は怖くは無かった。
町のみんなは、両親と妹はもうとっくに死んでいた。
病気に蝕まれ最期まで抗おうとした医者である両親は無惨にも殺され妹も殺された。
今更自分だけ助かろうなどと都合のいい事は考えられない

でも、もし

もし助かる事が出来たなら

いつかこの目の前の心優しい男が言った、広い世界とやらを見て回るのも悪くない。

そう思った。



ミニオン島へ向けて出港してすぐ、コートのポケットに入っている電伝虫が鳴いた。

このポケットに入った電伝虫の番号は家族しか知らない。

ロシナンテか、センゴクさん。
おそらくセンゴクさんだろう。

「はい。」
「すまない、忙しかったか?」
「(支部を出てきた事はバレてない?)いえ、大丈夫です。どうかしましたか?」
「少し頼みがある。今周りに人は?」
「…居ません。」
「そうか。この事は一部の者しか知らないのだが…」

今北の海のミニオン島を拠点にしているバレルズ海賊団と海軍が悪魔の実を取り引きする事になっているが、そこに横槍が入ろうとしている。
ドンキホーテ・ドフラミンゴだ。どこから情報を嗅ぎつけたのか、彼も悪魔の実を狙っている。そちらには既にお鶴さんを派遣したが、どうにも落ち着かない。
そしてその情報を確認してきたロシナンテが心配だと。
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