第3章 君の肩には
「おー!!凄いな千空。海が水平線まで続いてるぞ」
「ほーん。そーだなー白夜。興味深ぇ深ぇ」
「お前絶ッ対に全然興味ないだろ!?」
裾に行くに連れて黒くなる独特な髪色の白髪の男性と、これまた白菜みたいな変わった髪型のまだ小学生ぐらいの少年が甲板に居た。耳をほじくりながら船首近くに立ち、波を切り開く船の動きを見ている。少年とその男性が話をしているのを、船医である女性は遥か後方から眺めて——
「…………なんでこんな事になったんだっけ」
あの白夜が、生きている。しかもちゃんとCV藤原啓治さんだ。変な感慨を抱きつつ、手元からティッシュを出して目の縁に溜まった水滴を染み込ませる。石神白夜と、千空が生きている。親子二人並ぶその姿に、冷徹な雪乃も思うところがあった。
話は、少し前に遡る——。