第2章 誤解から生まれた激情
〔独歩side〕
毎日残業やら雑用を押し付けられ、神経はすり減り、ストレスが溜まり、体は疲れを超えて麻痺してくる。
そんな毎日にも、俺には癒しがあった。
「また背中曲がってるよ。ほら」
こんな俺を気遣って、話しかけてくれて、何かと声を掛けてくれる同僚。
。
そして、彼女がいつも何の躊躇いもなく、俺の口に入れてくる飴は、彼女みたいに甘い香りがした。
今日もは、俺の事を気にして遅くまで仕事を手伝ってくれた。
そんな彼女を、俺が好きにならないわけがなかった。
けど、こんな冴えない無能な俺なんて、彼女みたいに光が当たる人と釣り合うわけがない。
それでも、と一緒にいたくて、また今日も彼女の好意に甘えている。
残業しながら、髪を撫でられる気持ちよさに酔う。
彼女の距離感が、俺の感情を麻痺させ、狂わせる。
一二三と知り合いだと聞いて胸がチクリとし、部屋に招待してから後悔する。
仲良さそうに並んで料理の準備をする二人を見て、目の前が真っ暗になって、黒い何かが湧き上がる感覚。
感情が抑えられない。
お前もやっぱり、一二三みたいな男がいいのか。やっぱり俺なんかじゃ駄目なのか。
嫌だ。嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ。
絶対、渡さない。
は、俺のだ。
そう考えたら、もう、止められなかった。
自室のベッドで意外に華奢な体を組み敷いて、困惑の目を向けながら不安そうに瞳を揺らすを見下ろしながら、頬を撫でた。
触られる事はあっても、触る事がほとんどなかったから、初めての感触に、堪らず息が漏れる。
「はぁ……肌、綺麗だな……」
近くにあったネクタイを取り、戸惑いで動かないの両手首を拘束する。
手を頭上に持ち上げる体勢にさせて、シャツのボタンをゆっくり外して行く。
「独歩っ、ねぇ、こんな事……やめてっ……」
「やめない。口も、塞ごうか……」
「どっ……ンっ、んんっ!」
綺麗な形の唇を、舐めて塞いだ。
柔らかくて、甘い。
「ふぁっ、ぅ、んんっ……」
「唇も、甘いな……はぁ……んっ……」
俺のだ。
俺だけの。
絶対逃がさない。