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闇を照らす君の光【ヒプマイ夢】〘独歩夢〙

第1章 光と影




成り行きとはいえ、独歩の生活する部屋に来たとなると、少なからず緊張してしまう。

「もうちょい待っててー、後少しで出来っからさー」

美味しそうな匂いが、部屋に充満して食欲をそそる。

独歩が部屋へ向かった後、カバンを置かせてもらって、上着を脱いで一二三さんに近寄る。

「お手伝いします」

「えー、マジで? じゃ、これ洗ってちょー」

袖を捲って手を洗い、野菜を洗ってサラダを作る。

「おっ!? さん手際いいじゃーん、料理やっちゃう感じ?」

「はい、料理は好きなんで、よく作ります」

独歩が戻って来るまで、一二三さんに独歩の話を色々聞いていた。

「でも世界は狭いよなー。さんがちゃんどぽの同僚だったなんて、知んなかったなー」

「ほんとですね。私も最初聞いた時驚きました」

「これからもちゃんどぽをしくよろー。あいつすぐ無理しちまうからさー」

苦笑する一二三さんに、いい関係なんだなって二人が羨ましくなった。

「仲良く何の話だ?」

「ひゃぁっ! び、びっくりしたぁ……ちょっと、突然背後に立って耳元で囁かないでよっ……」

いつの間に背後に、それも凄く近くで立ち、耳元で囁かれるなんて。

独歩の普段の声からは想像出来ないくらい、低く唸るみたいな声に、ゾクリとした。

少しラフな格好になっている独歩が、無言で座る。

視線が、妙に刺さる。目が、据わっている気がして、一二三の様子を窺うけれど、気にしていない様子だ。

気にし過ぎなのだろうか。

一通り料理が並ぶと、一二三さんは仕事の電話が入り、店に行ってしまった。

「こんな時間から仕事とか、一二三さんも大変なんだね。人気ホストだから、仕方ないのか……」

「あぁ、そういう仕事だし、よくある事だ」

呟いた私にそう言って、隣に座る私を据わり気味の目で見つめる。

「それとも、一二三がいないと駄目だったか?」

「何を……」

「楽しそうだったしな。そうだよな、俺なんかが相手するよりお前だって一二三のがいいよな」

ネガティブが顔を出したいつもの様子とは、少し違って何かおかしい。

「ちょっ……」

手首を掴まれ、勢いで立ち上がる。

無言な独歩に連れられ、独歩の部屋であろう場所に入って、両肩を押されてベッドへ倒れた。
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