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記憶が亡くなる前に

第13章 自分にしか出来ないこと


シオンは長く海水にいたため少し体力が足りなかったのか、がくりと倒れそうになった。

「おっと…!」

倒れそうになった体をヒレ付きの黄色い手が彼女の体を支える。

「大丈夫か?」

顔を上げて支えてくれた人を見上げた。

(魚人…?)

歳をとった魚人が心配そうにシオンを見ている。

「大丈夫…です。あなたは…?」

「さっき、助けてもらった者だ。
おかげで早く仲間と連絡が取れたんだ。」

「え…?」

魚人の男が来たと言わんばかりに視線をそちらへ向ける。
落ちて来た、サボ。別の場所からキャスケットらしき帽子をかぶった女の子が歩いてくる。

「仲間って…サボ…の?」

「仲間を助けてくれてありがとう。
おかげで核が分かってよかったよ。」

自分もおもちゃにされたことを気にして視線を逸らした。

「私は…」

ズキン

「いっ…」

この国に来て何度目かの頭痛に顔を歪ませる。

「おい、大丈夫か?」

「大丈夫…ただの持病だから…。」

シオンはスっと何とか立ち上がった。
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