第12章 命懸けの単独行動
トレーボルを見るなり「誰だ」と構える。
「お前こそ、だれだよ。
なんでこんな所にいるんだ?べへへ〜」
ニタリと気味の悪い笑みを浮かべている。
「だれ…?私は…
私は…わ、わた…し…」
名乗ろうにも誰だか分からなくなる。
(誰だ…っけ?
私?なんでこんなところに…?)
思い出そうとすると頭に激痛が走る。
その痛みで息が荒くなった。
「?お前、なんなんだ?」
「…分からない。」
「は?」
「ここはどこなんですか?
あなたは…誰?でも、なんか知ってる気がする…。」
「お前自分の立場分かってるのか?
まず顔を見せろ。 」
深く被った帽子を取られそうになり、咄嗟に帽子を取られまいと後ろに下がった。
(なんでだろう…この人には見せてはいけない気がする…)
トレーボルから逃げなきゃと本能が警鐘を鳴らしていた。
「トレーボル、何やってるの?」
歩いてくる音と同時に女の子の声が響いた。