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記憶が亡くなる前に

第12章 命懸けの単独行動


言い訳は出来ない。
どのみち、誤魔化しも出来ないだろうとシオンは走り出した。

長い通路をまっすぐに走ろうと足を出す。


ズキン


激しく頭の奥が痛くなる。

(…こんな時に!)

走ることを止めたらうなるか想像は容易についていたため走った。

「んね〜んね〜?
おまえは何を見たの?教えて?」

ねっとりとまとわりつくその喋り方に吐き気がする。


ズキン


また頭の奥が痛む。
さらに激しく痛くなる。


ズキンズキンズキン


痛みの感覚が短くなり、足が止まった。

「…?」

トレーボルは突然立ち止まったシオンをキョトンと見つめる。

「諦めがいいな、べへへ。」


シオンは辺りをキョロキョロとした。

「ここは…どこ?
暗い…。」

「なんだお前?急に?」

どうも様子がおかしいシオンを警戒しつつ話しかける。
シオンはビクッと体を竦ませゆっくり振り返った。

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