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記憶が亡くなる前に

第12章 命懸けの単独行動


案内された先へ恐る恐る向かうと男たちの荒い声が聞こえてきた。シオンは自分の存在がバレないように壁に張り付き、様子を伺う。

「おら、しっかり動け!スクラップにされたいのか?」

ピシャリと鞭を振るう音がする。
体を打たれ、男の痛たましい叫び声が聞こえた。

「すみません、まだ動けます。
少し休ませていただければ…それかせめて足の関節にオイルを塗っていただければ!」

「何言ってやがるんだてめぇは!
それはなぁ?ノルマを達成してねぇのにやるわけねぇだろ」

ギャハハと男らの笑い声にシオンは心を痛める。
壁際から少し顔を離して様子を見た。

船が何隻もあり、その周りには大量の箱がある。
それをおもちゃ達がその大きな箱を持ち上げ運んでいた。

(箱の中身は何?)

確認しようと思っても薄暗さからよく見えない。
もう少し近づけられたらと思い1歩前に出ようとした。





ぽんと肩を掴まれた。

「!?」

驚き声が出そうになったのを自分の手で抑えて振り返る。
そこにはシルクハットを被り、コートを羽織ってサングラスをかけた男が立っていた。

男はシーっと人差し指で静かにするようにジェスチャーする。

「あなたは?」

「…それはお互いのために隠した方がいいと思うんだ。
コロシアムに入った仲間が行方不明で探しに来たんだ。
そしたら、ここに君がいた。」

「なるほど…」

シオンと男は奥の様子をもう一度、窺った。



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