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記憶が亡くなる前に

第9章 新しい部隊


イッショウさんは市民の皆様のために戦うことが多かった。
多くは語らない。
でも自分の部下のことを思い、市民を守ろうとする姿勢には私も尊敬した。
イッショウさんは素晴らしくいい人だ。
海賊を憎むとかではなく、危険から市民を守る。
それだけの事だと言っている。

私はセンゴクさんとは別にイッショウさんにもついて行きたいと思った。



相変わらず私の病気は原因不明である。
日に日に増えていくと言う訳では無いけれど、ふと抜けていく感覚に怖さと悲しさを覚える。

「おまえさん、そんな体でなぜに戦うんですかい?」

この日は任務を終えて帰っていくところだった。
海風に当たられながらも周りに異常がないか、見張りをしていた。
そんな私の横にイッショウさんがやってきた。

「なんのことですか?」

「とぼけなさんな。先程の戦闘中、様子がおかしい気がしてねぇ。
また例のでも起こしたのかと。」

「……。」

私は驚いた。
何していたっけ?となったのはイッショウさんからかなり離れていたし、ぼんやりしてても敵の攻撃を喰らうなんてことはなかったから。

「知っていたんですか?」

イッショウさんは何も答えない。

「隠せていたつもりなのに。」

「目を閉じた代わりに、見えてくるものもあるんです。」

「そうでしたか…。」

そういえばイッショウさんは目が見えない。
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