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記憶が亡くなる前に

第6章 元奴隷の少女と珀鉛病の少年


電伝虫で相手に連絡をする。

『お〜か〜き〜』

「あられ。俺です。」

『おぉロシナンテか。どうした?』

「ちょっと私用で任務を離れようと思いまして。」

『何かトラブルか?』

「いえ。言い出せはしないんですが。」

『そうか、ちびっ子達はどうだ?』

「その事なんですが。1人の少女の話を前にしたと思うのですが。」

『あぁ、例の宝箱の?』

シオンの心臓がどくりと嫌に胸打った。

「はい。その子はセンゴクさんに任せたいんです。
大人を未だ怖がってます。
でも、俺が信頼する人ならと。」

『その子はそこに?』

「はい。」

コラソンは電伝虫をシオンに渡した。

「はい…」

『君がシオンかね?』

「はい…」

シオンは震える声で返事をする。
その肩をコラソンは優しく触れた。
大丈夫だと頷く。

『うむ。我々のところで君を保護させてほしい。
いいかね?』

「……。」

シオンは唇をキュッと噛んだ。
やはり怖いと思っているみたいだった。
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