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記憶が亡くなる前に

第6章 元奴隷の少女と珀鉛病の少年


しかし、その手はピタリと止まった。
驚いたからだ。

シオンの目から涙があふれる。
困ったようにしか笑わなく感情があまり出てこなかったシオンが泣いていた。

「シオン、お前…。」

シオンはハッとした。
自分が涙していることに驚いている様だった。
しかし、それは何となく自分で気づいてたとある変化なのも知っていた。

「私…コラさんの前なら笑ってられた。
安心してたんだよ。」

コラソンはぽかんと口を開けていた。

「そう…だったのか?」

今思えば確かに自分といてもファミリーが居たら表情や感情はさして出てこないシオンは、自分と2人の時は
いっぱい笑っていた。

「大人は怖い…けど、コラさんは怖くない。
優しくて…温かくて、離れたくない。」

シオンは初めて子どもらしくわんわん泣き出した。
コラソンは少し考えてから三本の指をシオンに出した。

「……3ヶ月。
約束する。3ヶ月でローの病気を治して必ず迎えに行く。センゴクさんにもそう伝える。」

「センゴク…?」

「あぁ、俺の上司だ。
センゴクさんなら信頼出来る。してもいい。
センゴクさんと何かあったら俺に言え。すぐに殴り込みに行くから。」

「自分の上司を殴るの…?」

「お前の方が上司より大事だ。」

コラソンは電伝虫をまた出した。
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