第7章 帰宅
カホはすこし帰宅時間が遅くなった。しかし夫の降谷はいつも深夜に帰宅してくる。なので少し遅くなろうと大丈夫だろうとカホは思った。しかし、ーー
玄関のドアを開けると恐ろしい顔で待ち構えた降谷がいた。 「ふ、降谷さん!」
彼がこんなにも早い帰宅とは思ってもおらず驚くカホ。
「どこにいって、こんな時間まで何をしていた?」
恐ろしい剣幕がカホに降り注ぐ。
「知人と会話が弾んでしまって、、」
「....そうかならこれから遅くなるなら連絡しろ、寒かっただろう。風呂が沸いている入れ。」
意外とあっさりした返答に驚いたカホであったが、そう促されカホは入浴した。カホが入浴している間に降谷は彼女の着ていた衣服を探った。
『知人と会っていたと言ってたな。だかその相手は女ではない』
服についた男特有の短く茶色の髪が付いてた。そうその人物とは1人しかいない沖矢昴だ。ーーー
『なんであいつなんか家にっー』
沸々と湧き上がる嫉妬の渦が降谷を襲う。
ガチャっ、カホが風呂から上がった。
「降谷さん遅くなってしまってすみませんこれから連絡します」
項垂れるような表情を浮かべるカホ。
「君はこの街に引っ越してきたばかりなのにもう知り合いができたのかい?」
「え」
「...男と会っていたんだろう?」
確かに降谷の言う通りだ。しかしカホにとってはただの知人にすぎない。カホは言葉に詰まる。そんな様子を見て沖矢昴になにか気を遣っているのかと勘違いした降谷。怒りは最高頂まで達した。
「そんなにそいつがすきなら好きにすれば良いさ!どうせ僕たちの結婚には愛なんて存在しないからなっ!」
カホは静かに涙を流していた。
「ひどい、降谷さん...あたしはほんとに降谷さんのことが...」
目にいっぱい涙を溜めて自室へと走っていくカホ。そんなカホを降谷は抱き止めることさえできず。ーーーー
ふと我に帰りカホが持って帰ってきた袋が目に入った。何かと思い中身を出すと。ーーーー
降谷が恨んでも止まない、"ライ"だった。
降谷は固まった。
『まさか、あいつ俺の正体を....!!』
わざわざカホに持たせて帰ってきたのだそれは"ライ" "赤井秀一"からの宣戦布告と受けとってもいいだろう。
ーー彼女を渡すものかっ!!ー