第5章 肩書きだけの結婚
「ほんとにうちに住まなくてもいいのかい?」
無事結婚が決まり新居に移り住もうとしている2人を横に一夫は心配していた。
「ええ自分達の力で生活してみたいのもありますし何よりお義父さんにこれ以上お世話になるわけにもいきませんから。」
嘘だ。もちろん成瀬一夫のそばにいればボロを出し情報を得ることができる。しかしその一方で愛するカホにも危険が降りかかってしまうので惜しいところだが同居は無理と判断した
「お父様安心してください零さんと2人力合わせて頑張ります」
「カホがそういうのなら、」
渋々だが了承した一夫であった。
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新居に移り住んだ2人。だが空気は重い。机に座り婚姻届を見つめる
重い口を開いのは降谷の方からだった。
「僕は警察官だが立場上公にはできない。だから婚姻届は出すが夫婦別姓でこれからも生きていく」
その瞳は何を思っているのかわからない
「あの時も君にも言ったがこれは契約結婚だ。上司に身を固めろと言われたからしただけの話。だから契約内容を考えた。お互いに身の追求はやめる。仕事を辞め家庭に入る。お互いの部屋には入らない。あと僕の仕事は不定期なので出迎えは不要です。」
いくら契約結婚といってもここまで縛られたらただの同居人に過ぎない。カホは信じられないという顔で降谷をみている。そんな降谷にカホはすこしのも抵抗をみせた。
「えでもわたしまだ仕事してたいんですが、」
「一家のお嬢様である君がOLをしている。これは成瀬家の恥晒しにもほどがある。」
いくらなんでも言い過ぎなんじゃないのか。そう思ったが陰ではそのようなことを言われていたのかもしれない。
「わたしそんなっすみません」
顔を赤くし今でも泣きそうな表情をするカホ。しかしこの条件はカホを守るための降谷の作戦だ。
『すまない、カホきみにこんな顔をさせたくて結婚したんじゃないっ!、』
降谷は胸を痛めたが彼女を自分のそばに置きたかった。
「以上だ質問はあるか?」