第6章 好きな人。
『ちょっ、、‼︎恵君っ、、⁈』
「・・すげぇイライラしてた筈なのに、いつの間にかさんの事、目で追うようになってたんです。
弱いくせにちゃんと芯があるとことか、術師の世界に染まってなくて純粋なとことか…
気づいたらあなたの事が頭から離れなくなってた。」
背中に回された腕にぎゅっと力が入り、お互いの身体が密着する。
ドクンドクンドクン、、、
恵君の心臓の音なのか、自分の心臓の音なのか最早分からない位うるさく聞こえる心臓の音。
冷や汗がじんわりと滲んでいくのがわかる…
『・・あ、あのっ、、恵君…気持ちは分かったから一回離して、、、』
手でやんわりと胸を押し返し、身体を離した。
既に脈は早く、手の平はしっとりと汗ばみ、手先は冷たくなっている。
どうしよう…どうしよう…どうしよう…
カタカタと震える指先、膝にも力が入らなくなる…。
この状況で恵君には申し訳ないけど、落ち着く為にはこの部屋から出るのが一番だ。
そう思い、、、
『・・めっ、恵君っ、、ごめっ、、、、』
フラつく足取りでドアへと向かおうと恵君に背を向けると、
「ーーーー好きです。」
後ろから抱きしめられた。