第6章 好きな人。
恵side
乙骨先輩への部屋へと入っていくさんの後ろ姿を見て、モヤっとした気持ちが広がっていく。
たった数ヶ月、事情があったとはいえ、ここでさんと乙骨先輩が一緒に住んでたとか…
すげー腹立つ…。
あのダボダボのスウェットだって明らかに男モンだろ。
誰んだよ、乙骨先輩のか?
ーーーそもそもあの人は無防備過ぎる。
さっきの罰ゲームの時だって狗巻先輩に手握られてるし。
あの時、さんが狗巻先輩を選んだのは恐らく場を収める為だったのは察しがつく。
けど、狗巻先輩の目は本気だった。
だから柄にも無く、2人の間に割って入った。
今だってろくに髪も乾かさずにシャンプーの匂い漂わせて。
白い肌を蒸気させて笑う顔とか……反則だろ。
「クソッ!」
ガシガシと頭を掻きながら、ドアに目線を移す。
・・・・遅いな。
ゆっくりと足を進め、ドアの前に立った。